Japanese Breakfastのミュージシャンが書いた、1年以上ニューヨークタイムズ・ベストセラーに入りしたメモワール。
母と娘との関係は、いつだって複雑で愛おしい。そんな風に思わせてくれる一冊です。
簡単なあらすじ
アメリカで育った韓国系アメリカ人、ミシェル・ザウナーは、母の死をきっかけに自分のルーツと向き合い始めます。
思い出とともによみがえるのは、母と一緒に通った韓国食料品店「H Mart」。
キムチ、ジャジャン麺、トッポギ――料理の香りと味が、母の愛情を呼び起こします。
食を通して描かれる喪失と再生の物語。
音楽家としても知られる著者の感性が光る、静かで深いノンフィクションです。

因みにこのタイトルにある”H Mart”ですが、私がアメリカで大変お世話になっている韓国系スーパーです。

本の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | Crying in H Mart |
| 著者 | Michelle Zauner(ミシェル・ザウナー) |
| 出版年 | 2021年 |
| ジャンル | 回想録/メモワール |
| 日本語訳 | 『Hマートで泣きながら』 (集英社) |
感想

思春期になった作者の母親に対する気持ちが遠ざかっていく様子、大人になっていく彼女の気持ちの変化が、私の娘と重なりより一層深く心に内容が入ってきました。
年頃のお子さんを持つ方や、思春期のお子さんどちらが読んでも心に響く内容です。
母と娘の関係には衝突やすれ違いもあるのに、食卓を囲む時間だけはいつも温かい。
アジア系としてのアイデンティティ、母を失った喪失感、そして自分を再発見するまでの道のりなど、涙がこぼれる一方で、親子の深い愛を感じ、心がじんわり温まる一冊でした。
読みどころ・心に残るポイント
- 食が「記憶」と「文化」の架け橋になる描写が美しい
- アメリカで育った娘の“韓国人としての葛藤”がリアル
- 母の死を受け入れる過程が率直で、心に響く
- シンプルな言葉なのに、感情の深さが伝わる文体


この本にも出てきた韓国料理と言えばのキムチ。
我が家もアメリカに来てキムチを作り始めました。材料はとてもシンプル!
どんなに親子関係がギクシャクしても、親が作っていた料理は子供の心に残っているという彼女の言葉を信じて、私もせっせと一方通行の愛情表現を娘に送っています 笑
英語のレベルと読みやすさ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 難易度 | ★★★☆☆(中級) |
| 語彙 | 日常会話・食べ物・感情表現中心 |
| 文体 | 詩的で読みやすい。リズムが心地よい。 |
| ボリューム | 約250ページ |
英語は比較的シンプルで、感情がストレートに伝わる文章で読みやすいです。
会話も多く、英語で「感情を読む」練習にも最適です。
最後まで読み終えるポイント
- 章ごとにゆっくり味わう
料理の描写や母の記憶を、自分の体験と重ねながら読むと深く響きます。 - 食文化の違いを楽しむ
韓国料理の表現が多いので、わからない食べ物は画像検索すると理解が進みます。 - 音楽と一緒に楽しむ
著者が率いるバンド「Japanese Breakfast」のことを知ると、より一層深くこの作品を理解できます。
とてもチャーミングな作者のインタビューも是非ご覧ください!
おすすめしたい読者
- 親との関係に悩んだ経験のある方
- 食を通して文化を感じたい方
- アメリカに住んでいる移民・アジア系の視点に興味のある読者
- 英語で心温まるエッセイを読みたい方
まとめ
『Crying in H Mart』は、「食が語る母と娘の愛の物語」。
料理の匂い、キッチンの音、家族の記憶――それらがすべて、言葉よりも雄弁に愛を伝えています。
著者の繊細な表現や心の揺れが英語で鮮やかに感じられ、英語での感情表現の勉強になります。
悲しみの中にも温かさがあり、「読後、母に会いたくなる本」です。



